【Recruiting】「戦略的採用論」を読んで感じたこと


こんにちは、しもたくです。日本はゴールデンウィーク、シンガポールは華金ですね。

本日はリクルートワークス研究所さんから出されたこちら…

戦略的採用論

について、読み通してみましたので、あくまで個人的なまとめと感想をメモ程度に残したいと思います。

 

「是非、読んでみて!!」と思う対象の人たち

  • 経営者の方
  • (日ごろ必死に現場で戦っている)人事・採用担当の方
  • 学生の方(特に、新卒に対することは、割と数多く書かれている)

 

個人的、戦略的採用論まとめ

こちらのPDFの要諦は、3ページ目にも書かれている通り

深刻な人材不足の中で、企業が競争優位を獲得するための採用をいかに行うのか

というところにあります。(かなり大雑把に、上記は僕がまとめてます。正しい文は本体を読んで下さい。)

要は今までと同じ採用してちゃ駄目ですよ。ってことだと、僕は勝手に解釈しました。

それでは、早速いってみましょう。

 

 

「新卒偏重の採用論議を排す」を読んで

chatchatchat

4ページ目からは主に、過去の習慣から「新卒採用はとても大事なんだけど、それにしても注力し過ぎじゃないか。新卒・中途とこだわらず、目的によって採用する対象や方法を変えればどうか。」というところがポイントかなと勝手に解釈しました。

僕自身が赤線を引いた部分でいうと…(多少、文を端折ってます)

  • 今までは新卒者の採用人数が、景況感や産業の趨勢を示す指標のひとつ(確かにそんな気がする)
  • 内定を出した学生に就職活動の終了を強要する「オワハラ=就活終われハラスメント」(知らなかったです、これ…。でも確かにあるな、あったな。と。)
  • 上場企業の89%は新卒採用力強化を人事課題に挙げる(次世代リーダー育成、ダイバーシティに続く高い指標とのこと)
  • (人事に)経営との接点の話になると、それまでの勢いが失われ、歯切れの悪い回答となり(略)総括すると、経営陣は採用に関しての本質的な感心が低い、となるだろう(という仮説だが、割と正解なのではないかと思う)
  • 販売サービス系企業は人材採用が肝なのに、事業戦略の転換や、BPRを行っているという話はわずかしか聞かれない(採用部分だけでなく働くスタイルそのものに対しての課題ということ)
  • 転職入職者(中途採用)の実数は1985年の187万人から、2014年時点では305万人と大幅増加している(単純に数字伸びている、転職する人増えているということに気付いたので)

などです。(他にも沢山引いてるんですが、とっちらかってしまうのでココまで。)

上記のような課題や事実背景から、今足りないのは「戦略的採用」ですよ。と。

 

経営視点での採用研究が日本ではとりわけ少ないという課題感から

戦略と採用の一貫性がない

採用と内部制度の整合性もない

成果を次に反映するフィードバックループが必要

はたまた「多様な関係者のコーディネーションが採用活動に求められる」と、耳の痛い話のオンパレードでした。

 

◆しもたく途中感想

ココまで来ると採用だけの話ではないので思わず目を背けたくなったのですが、確かにこの(経営)視点で見ると、人事はやれる(やりたい)こともりもりだな、と。

特に身近なところで行くと、周りがやってるから(流行ってるから?)という理由で「最近、ダイレクトリクルーティング始めました」という様な企業も増えてきたなと個人的には思っていて(冷やし中華現象)、そこにも如何に、経営戦略に沿った人材採用手法のあくまでも一つですよ。という捉え方があるかないかで、大きな違いが出るのかな。と思ったり。勿論、チャレンジしないよりはやった方が良い!というポリシーに関しては全面Agreeです。(実際は採用実務で忙しくて、そんなの考えてる暇ないよ。っていう気持ちもよく分かったりします。当時、僕も「Direct Recruiting is King!」だと思ってたことも反省してます。)

 

「中途採用と新卒採用を分ける意味はあるのか」コラムを読んで

mangooravocado

わずか1ページでしたが、ぎゅっとエッセンスが凝縮された一枚でした。

赤線部分は…(また、端折ってます)

  • 中途採用がうまくいっている企業は、採用チーム内で人材要件のすり合わせを十分に行っている
  • 中途採用者が活躍できるかどうかは、求職者が自社の文化・風土と合うかどうかを重視して選考することにかかっている
  • 中途採用が上手くいっている企業では
    • 事業部長からのヒアリング
    • 経営者の考える自社のビジョンの理解
    • 長期的な育成方針
    • 育成方針の伝統
    • 上記をふまえて、中途採用の人材要件を設計していた
  • 新卒中途こだわりなく「採用」を人事部が主体となって取り組んでいくことが重要

この辺りが、個人的にマークした部分です。

 

しもたく途中感想Part2

「当たり前ですよね。」と思った採用担当の貴方。いやいや、中々出来ないでしょう、時間取れてないでしょう。と、ついつい穿った見方をしてすみません。自戒も込めて。当たり前なんだけど、中々リソース使えてないし、「え?それって直ぐ採用結果に直結するんですか?」っていうとそういうわけでもないですよね。でも、失敗する採用の一番コアな部分だと思いますし、特に前半の2つは採用獲得を良い物にする上で特に重要だと思います。

特に「採用は人事部がイニシアチブをとる」という部分、これまたすっごい大切だし当たり前なんですけど、めちゃくちゃ大変だと思いますので頑張りましょう。そして、助けてください(笑)

 

「戦略的採用のフレームワーク」を読んで

framework

文中にもある通り、「採用を局所的オペレーションではなく、5つのパースペクティブからなる経営活動とみなす」という部分が重要だと思います。そして、飽きずにいきます、赤線部分…

  • 採用の各工程はデータで可視化され、数字に基づくPDCAサイクルが求められるようになった(採用活動はより可視化され大変になった。そして効率化された。ということ)
  • 経営戦略とは、企業が持続可能な競争優位を獲得するために行う、複雑な外部環境への大局的な対峙方針である(採用活動もその一つである。という極めて重要なこと)
    • (上記とともに)経営上とりわけ重要なのは
      • 組織の競争優位を強化していくための人材採用である
      • そのような人材を獲得するための方法が意図的にデザインされている
      • 状況に応じてダイナミックに採用を変えていく
  • 事業拡大を支える大規模な非正規採用に失敗すれば経営計画は頓挫する
  • 人材採用は①競争優位を強化する攻めの採用②現状の組織構成を維持する守りの採用の2つに大別できる
  • 外部環境に適合し、毎年、取り組みを進化させていく企業がある(そうならなければならないという意味で)
  • 組織構成を維持するための外国人採用が、新たな競争優位獲得を生み出す「攻めの採用」に転じる可能性がある(実業との乖離が激しいと駄目だけど、これは個人的に日本に推し進めたい点)
  • 欠員補充の採用では、前任者同様の経験・知識を有した経験者を採用し、その人材にこれまで通りの業務を即戦力として担って欲しいというのが、企業の本音だろう(本当にそうなんです。だけど、そんな人は中々居ないですよ。人は一人一人違いますよ。という意味と自戒を込めて)
  • 採用がうまくいっている企業では、経営層からリクルーターをつとめる社員まで、採用目標の理解やその達成に向けての協力体制が社内に出来上がっている。(これは本当にそうだし、そういう風にチューニングというか、変革し続けられるイニシアチブを人事、もしくは会社の誰かがとれるかどうかが重要)
  • 日本では正社員採用は慎重な選考をせざるを得ない(雇用に関して海外と比べても違う部分)
  • 仮に(採用できない OR 採用課題の)原因を特定できていたとしても、採用担当者が他の人事制度を変えることが出来るような権限を有していない限り、抜本的な対策を講じることが出来ず、必要な人材を採用出来ないまま、漫然と時間が過ぎていく(これが地獄で泥沼化する前に、直ぐに抜け出す為の抜本的な改革が必要。)
  • 戦略的採用の実現は採用における人事機能の強化と同義(採用ハブとして、人事自体がこの大きな戦略のど真ん中にいることを意識し、イニシアチブを取ることが重要、その為の人事機能の強化(ざっくり言うと素敵な人材と素敵な文化と制度を人事部自体が持っているということ)が鍵であるという意味であると解釈しました)
  • 多様な要素からなる複雑さ、高頻度性、定期性を併せ持つ採用活動は、ひとたび合理性を持つと、それが「慣性(僕は完成と訳してもいいかと思う)」となり、同じ形で続けていくのが最も自然な形となる。その慣性は強力なものとなり、思考停止を誘発する。ましてや、採用担当者がプロセスに注力せざるを得ず、採用が経営課題から切り離されていたらなおさらだ

 

しもたく途中感想Part3

個人的には、最後の部分(慣性が思考停止を誘発する)が採用活動現場における最重要課題かと思います。

どの部署、どの事業でもそうだとは思うものの「あ、これが完璧だ!」ということが人事採用活動では一向に無いし、こない。(キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!と思っても、それは全然ゴールじゃないし、それが正解ってこともない)つまり終わりなき旅である。ので、現場担当者が「仕事やってま〜す」という状態になっている採用チームはむちゃくちゃ危険。じゃなくて、アクティブに、ポジティブに、イニシアチブを取りながら、「この課題終わったけど、次これだよね」「これやれたら、こうしていきたいよね」と道なき道を突き進む旅(と格好つけたもののPDCA)を楽しみつつ、経営に資する動きが出来るかどうかが重要だと個人的には思います。

そして、戦略的採用を実行した先に恐らく起こるであろう「戦略通りに実行されない病」みたいな時にどのように対処していくか。というのもかなり重要な課題であると思います。文中では描かれていない部分(かと思うの)ですが、採用活動は思った以上に成功することもあれば、想定外に大失敗することも良くあります。「人」という素材を扱うことで額面通りの数字で進まない要素が多々ある。ということがその要因だと思うものの、失敗を極めて寛容に受け入れつつ、次はそうさせない(させたくない)というエナジーを採用担当者一人一人が持てるかどうかが鍵でもあると思うのです。勿論、数字を追いまくった先に見える「味の向こう側」みたいなものが実際にはあるので、そういう経験もするべきだとは思います。一方で、Sustainableに採用活動を継続していくには、どれだけ高い山を登っているかを知ることも大事だし、間違ったルートを即断して選択してしまったとしても、そのチャレンジが必ず意味があるものだと納得出来ないとやっていけないはずです。

まさに狙った人材を獲得するための意図的な戦略デザインと、それが間違っていたとしてもケロッとダイナミックに採用方針/手法に即変更するというような緻密さ、図太さ、身軽さみたいなものがないと、(あくまで例えですが)迷って遭難してしまいそうになるし、山に居る間に凍えて固まっちゃいます。ということかなと。

 

最後に(個人的なまとめ)

 

戦略的採用論は読み終えて、総合的にとても良い時間だったと思えました。(本が得意ではないので、途中何度もダウンしてしまいましたが…)客観的かつ、俯瞰的な見方が大いに含まれていて、現場で活動しているだけでは見えないマクロ的な視点があり非常に役に立ちました。(そもそも良くないとブログ書かないし、書けないので)

 

時間が無い方は、P27のデイブ・ウルリッチ教授のコラムだけでも御覧ください。(2分で読めます)

カオスな市場環境で、企業は他社と違う戦略を生み出し、勝たなくてはいけない。その人的支援を行うことが人事の役割。IT業界では特に人が全てと言われます。このスピードのむちゃくちゃ早い業界では、優れた戦略を考案できる人材を獲得しないと、市場で勝てないからです。

 

その為には

自らの大志を日常の行動へ変えていくことの出来る人材

に、採用担当者自身がなった方が良いと思いますし、そういう人材を採用するためには、それはMUSTだなと日々感じています。

 

はい、僕にもしっかりと聞こえてます。「お前も頑張れよ」という言葉が。

 

しもたく

 

PS この記事を書こうと思ったのは、まさにこのようなカオスにいた時にチームで藻掻きまくったことで、とある名誉ある賞を当時のチームに頂いたなぁと過去のメールを見返して思い出したことも関係しています。先日のオツリクの会でも書いた通り、他者(社)から思われている以上に、全然自分たちの思い通りにいってない(いかない)のが採用であり、だからこそ理想を高く持たなきゃやってられない。それを引っ張ってくれるマネージャーや、またそれを「やりましょうよ」って言ってくれるチームメンバーが居るかどうかが現場の肝だろうと、思うわけです。というわけで、改めて東に向けて「有難うございました」と言いました。あいも変わらず人に支えられてないと生きていけませんが、過去に固執せず、結果は後からついてくるものなので、Connecting Dotsの精神で、まだ未開拓な開発地を開拓していかなくちゃいけないなと想います。現場からは以上です。