【襷インタビュー Vol.4】Ms.Munira Kurbonova 〜標高3,000m超のタジキスタンから日本を愛しはるばる留学する女性〜


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TASUKIについて

SHIMOTAKUを面白いと感じてくれた人が、さらに面白いと思う人を繋いでいくプロジェクトです。

ルールは3つだけ

その1:次の人にいきなりぶっこむこと(「良いよ」と快諾してくれる人を紹介する)

その2:TASUKIを受けた人がRespectする人だけが、次のインタビュー対象になること

その3:当人に全力の笑顔を写真にとってもらい、記事に掲載させてもらうこと

出来るだけ長く続けて節目に世界のどこかで皆様を招待してリアルにお話してみたいな。と夢見てます。

読者の方には「今日はどんな人が来るんだろう?」と楽しみにして頂けたなら幸いです。

 

今回のいきさつについて

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今回は前回のKay Makishiさんからのご紹介で、タジキスタン人のムニラクルボノワさん(写真左)にインタビューさせて頂きました。にこにこ笑顔で「緊張します…。」とかわいらしい挨拶からスタートしましたが、慣れない日本語でもしっかりと回答頂きました。(自分が英語でこれ位話せるかというと…怪しいです)

しもたく:いつもしてる質問なんですが、今回のお話の背景は理解していますか?

ムニラ:なんで私なのかなー?と思いましたが、Kayさんから紹介されたので。「なぜ日本を選んだのかとか」そういう質問されるのかな?と思っていました。

しもたく:OKです!では、早速はじめましょう!

 

紹介者との出逢いは?

ムニラ:Kayさんは、シルクロードの旅の流れで私の故郷に来た時に出逢いました。ふるさとの道を通っているときに、私の弟と写真を撮ったりしていたようで、近所でお茶をしようという流れになり、そこで私のおじいさんがKayさんと初めて逢いました。旅をしているそのKayさんが日本人だと聞いたことで、日本語を話せる人がいるよ!と私を紹介してもらったんです。

私の故郷は、タジキスタンの東”パミール”という場所になります。人口はとても少ないです。パミールは93%が山なので、7%だけ人が暮らしているエリアになります。山ばっかりなので、世界で2番目に高い山イスモイル・ソモニ峰(:Ismoil Somoni Peak、タジク語: Қуллаи Исмоили Сомонӣ)もある場所です。この山の名前は、途中ロシア語からタジク語に変更されたんですよ。

イスモイル・ソモニ峰 en.wikipedia.org参照
7495メートルを誇るイスモイル・ソモニ峰。眼下にはパミール高原が広がる。 en.wikipedia.org参照

いつも標高3000メートルのところに住んで生活しています。

しもたく:え!?標高3000メートルのところに住んでるの?富士山何メートルか知ってる??

ムニラ:富士山は37…。どれくらいでしたっけ?

しもたく:3776メートルだよ!みななろです!ちなみに、海は見たことありましたか?

ムニラ:勿論ありません。山ばっかりなので…。

しもたく:それは凄いね…。じゃ、日本で初めて海を見たんですね?

ムニラ:はい。日本の景色は、春夏秋冬があって。それから、山と海があって。中でもKayさんと行った沖縄の海が本当に良かったです。Kayさんもその親戚の皆さんも大好きです。

ムニラ:今は日本の広島に住んで、大学で日本のことを勉強しています。

しもたく:日本はみんな大学を卒業して就職するのが普通で、ずっと仕事中心にする人が多いと思うんだけどタジキスタンはどうですか?

ムニラ:タジキスタンは全然違う。みんなはだいたい、大学を卒業したら就職も結婚も一緒にする。まだ大学生なのに結婚する人も居る。家族によってそこは違うんですけど。日本の場合は自由が多いけど、タジキスタンの場合は結婚するのも相手が決まっている家族もまだ多いです。私のお父さんとお母さんは、自分自身が自由に育ったから「子供を自由にしてあげたい」と言ってくれました。お父さんは農業の仕事をしていて、首都と故郷の間のドライバーをしていたんです。それからロシア、ウズベキスタン、パキスタン、外国の人とあって楽しかったと言ってました。だから、私もその「楽しい」を味わおうとしています。

しもたく:なるほど、ご両親も心配だと思うけど、日本で頑張ってるわけですね。

 

それでは、生い立ちを教えて下さい

パミール高原〜上空より〜en.wikipedia.org参照
パミール高原 en.wikipedia.org参照

ムニラ:先ほどお伝えしたとおり、生まれたのはタジキスタンのパミールの村で生まれました。高校生まで故郷で勉強していて、卒業してから、首都にある大学に入学しました。村で生まれ、村で育ちました。

しもたく:日本との出逢いはどんな感じですか?

ムニラ:お父さんが今ずっとパミールにいるんだけど、前はロシアと働くこともありました。ロシアから帰ってくるときに、子供(私)を喜ばせるために本を買ってきてくれました。そこには、日本の色んな写真が貼ってあったんです。その写真にどことか、何とか、説明が書いてあって、すごく良い景色があったりして。それをもらって、日本という国を初めて知りました。

しもたく:お父さん凄いね。なんで、日本の本を選んだかわからないけど「ありがとう」とお伝えください。

ムニラ:地理の授業で日本については知っていたんですけど、素晴らしい歴史や景色があるのはそこで初めて詳しく知りました。写真をて、凄い行きたいなと思った。いいなー、いいところだなーと思って。その時にお父さんから、「日本語を勉強したらそこに行けるよ」と言われたので、日本語を勉強したのはその時からでした。 16歳(高校生2年目)の時だから、今から6年前ですね。

しもたく:なるほど、一冊の本が大きなきっかけを与えたんですね。ちなみに、子供の頃は何になりたかったの?

ムニラ:新聞記者になりたかったです。高校生の時に、学校で何になりたいか聞くんですけど、その時はずっと日本語を勉強するか、新聞記者になりたいとい言ってました。どこの大学に行くのかについてもずっと悩んでいて、日本語を習う機会が中々ないと聞いていたんです。がとある機会に、親戚のおじさんの友達が「首都で日本語を勉強できる大学がある」と教えてくれてその大学に入学することにしました。今は日本語を3年間大学で勉強して、6ヶ月間日本に滞在しています。

しもたく:なるほど、留学中ってことですね。ちなみに僕は全然わからないんだけど、タジキスタン人って日本に多いのかな?

ムニラ:タジキスタン人は100人くらい居るそうです。誰とも逢ったことがないけど。(笑)広島では私が初めてだったと思います。3つ程日本の大学を選んで、広島大学に合格したという知らせがあって今ここに居ます。日本の歴史の授業では、広島と長崎がやはり有名なので。

しもたく:100人かぁ、それでも少ないですね!ちなみに日本は遠かった?入国とか難しいんじゃない?他の海外に行ったことありますか?

ムニラ:実はウズベキスタンはタクシーでも行けます。でも、日本は(遠いけれど)それよりは簡単に入国できるんですね。ウズベキスタンは入国がとっても難しいので。今回タジキスタンを出る時に初めて飛行機に乗りました。そして、初めて海を見て、初めて日本に来ました。タジキスタン→トルコ→成田→関西というスケジュールだったんですが、成田に来た時は凄い疲れてたんです。飛行機の中で、隣の人がトルコから成田まで17時間位一緒だったんですけど、ちょっと体格の良い男性が座っていたので大変でした。

しもたく:はははwそれは良くある話ですが、大変でしたね!

 

留学生の日常って、何をしているの?

13199405_536993326503139_112577807_oしもたく:ちなみに今はどんなことをしているの?

ムニラ:日本語と日本文化についての研究をしています。何故、日本人は外来語を使うのだろう。とかです。その言葉自体に日本語があるのに、使ったりするのが不思議で。(カーナビとかラジコンとか、そういうことだろうか←しもたく回想)大学では、日本文化についての映像授業があったりするので、そういったもので勉強していますね。

しもたく:確かに不思議にあんまり思ったこと無いけど面白そうなテーマですね。ちなみに僕は「留学生の人が日本で何をしているか?」にとっても興味があるんですけど、実際はどんな生活なの?

ムニラ:授業は火曜日から金曜日まであります。朝は10時半(日によって違うけど)に行って、夕方は4時位に終わったりしてます。

しもたく:バイトとかしないの?

ムニラ:私もバイトしていますよ。うどん屋で色々作ってます。てんぷらとか、おむすびとか。

しもたく:おぉ!それは…凄いね(笑)

ムニラ:実はバイトをする理由は交流や友達を作る目的だったんです。けれど、てんぷら・おむすびを作るのに忙しくて中々話す時間がなくて…。

しもたく:おぉ!!その悩みって、なんか余計日本らしいですね!!シンガポールのバイトとかずっと喋ってるし、海外のバイトと日本のバイトのクオリティ全然違うもんね〜。

 

日本にいる間にやりたいことは何ですか?

ムニラ:実は大学の授業の関係上、今年の10月までしか日本には居れないんです。

しもたく:それじゃ、日本にいる間にやりたいこと何かありますか?

ムニラ:日本全国を回ってみたいです。どんな人が、どんな生活をしているかにとっても興味があるので。自分の国にいる時は、日本人は全て同じだと思っていたが、全然そうじゃないです。沖縄に行って、松山とかにも行ってみて。遠いところはまだないけど、広島の周り、岡山や倉敷に行ってみて、そこに住む人達の性格も暮らし方も全然違うとわかりました。それを全国で見てみたい。という思いがあります。

しもたく:そうだね、僕も関西人なんだけど、関西と関東でも全然違うもんね。ちなみにタジキスタンはどうなの?

ムニラ:タジキスタンはイスラム圏なんですけど、2種類の宗派があります。聞いたことあるかもしれませんが、スンニ派とシーア派の2つです。スンニ派は1日5回お祈りしないといけないし、服装も厳しいです。私はシーア派なんですが、少しだけ自由が多いという感じですね。

しもたく:今までなんとなく、というかニュースでしか聞いたことなかったけど、改めて当人から聞くと印象違いますね。こうしてオンラインで話していても新しい文化と交流している気がします。ちなみにタジキスタンのいいところは何ですか?

ムニラ:タジキスタンの良いところは…自然だったらパミール高原はとっても綺麗ですね。私の故郷ですが。自然が本当に綺麗で素晴らしいです。

 

日本人のイメージってどうなんだろう?

munila2しもたく:ちなみにこれもとっても興味があるんですが、日本人ってどういうイメージでしたか?

ムニラ:タジキスタンでの大学や、日本大使館の所にいる日本人の人は、優しすぎるというくらい優しいイメージです。私が知っている人はみんな優しい、心が広くて素敵な人が多い。バイトの店長は、とても優しいし良く話しかけてくれますね。多分、外国人に優しくしてくれるんじゃないでしょうか。あとは、年上の人はすごく優しくしてくれますね。なので、友達は15歳位上の人が多い気がします。

しもたく:それはまた、嬉しいですね。優しさやサービス精神は日本の強みだと思うので、そのように思ってくれているのは嬉しいことです。

ムニラ:今は、ヒッポファミリークラブというところで、1月からメンバーとして活動しています。

海外からの人をホームステイで受け入れをしていたりとか、国際交流の活動をしています。クラブのメンバーは凄く優しいので、(異文化を受けいれてくれる)このクラブはとっても好きです。また、子供も沢山くるんんですが、子ども達と遊ぶのが好きだから、そういうのも楽しい要素ですね。

 

今後の生き方について

ムニラ:実はまだ帰りたくないけど、帰るしかないんですね。将来は大使館で就職してみたいな!と思っています。が、それは今、少し難しそうですね。英語をもっと上達させる必要があります。なので、日本で大学院に行くか、日本で就職するか2つ道があると思っています。

しもたく:そんなに日本を好きでいてくれるなんて本当に嬉しいです。ご両親は寂しくないの?

ムニラ:お父さんとお母さんは「ずっとしたいことをしてください」と言ってくれているので大丈夫です。アプリで連絡もしているので。ある日、冗談でお父さんが「日本人と結婚したかったら結婚しても良い」と言っていたんですよ。

しもたく:おぉ!それはまた、凄いですね。本当に懐の深いお父さんなんだな、と話し聞きながら伝わってきますよ。

ムニラ:あとは、体の不自由な人のために自分の病院を作りたいと思っているんですけど、就職できたらそれもできるかな、やりたいなと思っています。小さいけど、自分からその人達の幸せに、人生に少しでも幸せを届けたいなと思っています。なぜなら「周りの幸せは自分の幸せだ」と思っているからです。

 

しもたく編集後記 

facebookのムニラのページをタジキスタン語で表示した図
facebookのムニラのページをタジキスタン語で表示した図(む…難しすぎる…)

タジキスタンからはるばる日本は広島にお住まいのムニラさん。明るい笑顔が印象的で、その内に秘める強さを言葉からも感じました。まだ大学生の彼女ではありますが、日本に憧れ、日本に来ることを達成し、更なる想いで日本を好きでいてくれている。ただ単純に「日本が好きです」と言ってくれるだけで、僕はとっても嬉しい気分になりました。

同時に自分は何も知らないとも感じました。正直に言いますが、僕の知り合い界隈で「◯◯スタン」が何カ国あって、実際にどこに位置していて、どんな暮らしと宗派があるのか。と答えられる人はほとんどいないのではないか?と思います。それ程までに関心がなく、また日常に触れる機会がない。かといえばそうでもないわけです。日々ニュースで流れてくるイスラムに対しての脅威はどんどんと頭のなかに根付いていくばかりなのに、こんなにも日本を好いてくれている一個人には、ほとんど触れる機会がないんだなと思いました。

また、印象的だったのは、彼女が日本を愛してくれていることだけでなく、それを許容してくれた両親に対してのRespectがあることでした。ストーリーの端々から家族の話を聞くことが出来、また自由にさせてくれる親に対しての尊敬がそこにはありました。自分自身がいかに恵まれているか、という再認識だけでなく(丁度母の日もあったので)家族に感謝するべき良き機会だったのかなと感謝しています。

本当に国籍問わず笑顔が素敵な人は素晴らしい人が多いです。こういった人の輪を増やしながら、まずは自分の周りから良きサイクルを生み出していきたいですね。ムニラさん、本当にお時間有難うございました!

 

次回もお楽しみに!

しもたく